虫歯(5)神経を抜くと歯が割れやすくなる

2013-10-06

旧ブログ

t f B! P L

前の関連記事:虫歯(4)歯茎を押すと白いヨーグルトみたいなものがでてくるよ


結局私の歯は割れているのか割れていないのかわからないまま虫歯治療は終了しました。歯が割れるとはどういうことなのか調べてみました。

「歯の神経を抜く」と無髄歯になる


歯が割れるとはどういうことなのか想像できなかったのでちょっと日本語文献を検索してみました。

「歯の神経を抜く」というのは専門的には「抜髄」というようです。

歯の主な部分は象牙質です。

歯肉から飛び出ていて外に見えている部分を歯冠部といいその部分の象牙質はエナメル質で覆われています。

歯肉に埋まっている歯茎の部分は歯根部といい、その部分の象牙質は歯根膜、セメント質に覆われています。

そして歯根部の象牙質の中に歯髄があり歯髄の中は神経や血管が通っています。

「歯の神経を抜く」というのはこの歯髄を全て取り去ってしまうことをいいます。

歯髄には神経も血管も含まれるので、「歯の神経を抜く」というのは歯の神経だけでなく血管も取り去ってしまうことになります。

歯髄をとった歯を無髄歯といい、歯髄を取っていない普通の歯は有髄歯といいます。

無髄歯→歯根破折→抜歯、となることが多い


神経を抜く - Google 検索をみると神経を抜くと歯が脆くなる、と書いてあるページがたくさんでてきますね。

神経を抜く=歯髄を取り去る=歯の血管もなくなる=歯に栄養がいかなくなる=歯がもろくなる、

というようなことを歯科医師が書いてあるページもありますが反論もありますね。

そもそも歯に栄養がいくというのはどういうことでしょう?

永久歯も骨のように新陳代謝されて新しいものに入れ替わっているのでしたっけ?

あまりに基礎的なものなのかそのようなことを書いてある最近の論文を見つけられなかったので、家にあった昔購入した歯科の教科書を引っぱり出してきました。


手元にあるのはこれの第6版2002年9月10日発行。

歯が完成したあとも、象牙質は生涯を通じて緩やかな速度であるが、形成され続けるため、歯髄腔は加齢ととともに狭窄してくる。
口腔外科学 (Minor textbook)第6版P33
うーん、新陳代謝で象牙質が入れ替わるとは書いてないですね。

日本語文献を検索して読んでるみる限り無髄歯に抜歯となる歯が多いというのは確かなようですが、理由についてははっきりしていないようです。

「歯が割れる」というのは歯根破折というようです。

先の教科書の索引にはこの「歯根破折」という項目はないですね。

まあ医学部の学生向けの教科書なので専門的なことは載っていないのでしょう。

歯界展望 115巻4号 垂直歯根破折/医歯薬出版株式会社

この雑誌に「垂直歯根破折-長期経過抜髄歯に起こる垂直歯根破折の特徴と内部要因」という特集がありました。(歯界というは歯科医にかけてあるんでしょうね。)

「垂直」歯根破折というのは歯根部に縦に割れ目に入るので「垂直」といわれます。

文献を読んでわかったこと


この「垂直歯根破折-長期経過抜髄歯に起こる垂直歯根破折の特徴と内部要因」などを読んでわかったことをまとめてみます。

①歯根破折になる歯は無髄歯が多い。

②歯根破折が原因で抜歯になるのは60歳代がもっとも多い。

③若年で抜髄した歯は抜歯までの期間が長い。

④ポスト(歯髄に入れるネジなど)の有無はあまり関係ない。

⑤亀裂は歯髄腔側が大きい。

⑥力による破折は根尖を通らないことや水平方向が多い。

上の②、③からいえることは歯の神経を抜けば歯の寿命が一律に短くなるということでなく、若年のうちは無髄歯でも割れることは少ないが高齢になると無髄歯は割れることが多い、ということになります。

私は歯が割れる年齢にはまだ早い、、、

④⑤⑥からいえることは無髄歯の垂直歯根破折は、硬いものを噛んで割れる場合とは違う理由で割れている可能性があるということです。

⑤⑥からは歯髄部分に破折の原因がありそうです。

無髄歯では歯髄部分の象牙質が乾燥してひび割れが始まる、とか、加齢のよる象牙質の改変が行われていないとか考察されていますが、結論はでていないようです。

でも何回も虫歯の治療歴のある歯が割れやすいようです。

私の歯は既に3回治療歴あり、、、

垂直歯根破折が起こっているかどうかの診断は抜歯してみないと確実にはできないようです。

割れてしまった歯はもう抜歯するしかないようですが、抜歯した歯の割れている部分をくっつけてまた戻すという治療法も最近試されているようです。

いまのところ歯を割らないようにする対策としては無髄歯をつくらないこと、、、

無髄歯になる原因は虫歯なので結局しっかり歯を磨いて神経を抜かないといけないような虫歯をつくらないこと、が対策になってしまいます。

私はもう手遅れ、、、

次の関連記事:虫歯(6)歯科検診の判定基準

ブログ検索 by Blogger

Translate

最近のコメント

Created by Calendar Gadget

QooQ